リスクに関する説明のしかた

『環境リスク論』で知られる中西準子氏のウェブサイトがある。リスクが予想されるときの伝達の仕方について示唆に富む記述があったので、紹介したい。

この初期にとられる措置は、多くの場合、後で考えれば過剰対策である。それは、間違うならば、「リスクなし」と言って人的被害を出すより、「リスクあり」と言って経済的損害を出す方が良いと考えてリスク管理を行うからである。

(中略)

適切にリスク評価をしても、その情報を出せばかなりの経済的な損失が出る。そういう場合に、どうするかを皆で考えておかなければ、リスクあり情報は出せないだろう。リスクあり情報が出せない状況で、リスクコミュニケーションを論じても意味がないと私は思うのである。

雑感280-2004.11.4「リスクコミュニケーション」

不確実な将来の損害を確実な現在の支出で補う(補いきれないかもしれないが)のがリスク対処の本質で、初期においては過剰な対策がとられることは覚悟しなければならない、ということである。

私などは、よく「落としどころを考えてから動きなさい」と言われるだけれど、まさにそうなのだろう。でも落としどころはいつでも見出せるのだろうか、という疑問はあるのだけれど。