2003-11-01から1ヶ月間の記事一覧

課外ディスカッション

この「科学・技術と人間の倫理」という講義では、グループ単位での発表が3回あり、グループでの討議をまとめなければならない。このため、講義時間外での集まりが必要に応じて開かれる。11月29日と30日の両日、ディスカッションが行われた。それぞれ4時間程…

遺伝子治療の倫理

遺伝子治療は、現在体細胞を対象としており生殖細胞へは適用していない。生殖細胞への遺伝子治療というものが可能になった場合、その実施は十分な説明のうえ患者の同意が必要であろう。一般の先端医療同様の慎重さが求められる。差し迫った危険や代替の方法…

遺伝子情報の取扱い

遺伝子情報は個人情報であり、本人の同意がなければそのDNA解析や遺伝子診断を行ってはならないという大原則が確立されるべきである。また、個人情報保護法に遺伝子情報の取扱原則や規制を明記すべきと思われる。 遺伝子診断を医療機関以外の主体が行っては…

遺伝子診断の倫理

遺伝子診断を日常医療の場での遺伝子原因の疾患を診断する目的でつかうことに限って考えることにしよう。 遺伝子診断を実施するに当たって、以下のポイントは必須であろう。 人の遺伝子は医療情報であり個人情報であるという原則を関係者すべてが共有する。 …

中間まとめ「遺伝子診断と遺伝子治療」

私の基本的な立場は、治療を受けたいと願う人の希望は極力かなえることが善であるという功利主義の立場である。自己決定は尊重されるべきだし、他人に迷惑がかからないのであればたいていのことはやってよいとする立場である。遺伝子の問題の難しいところは…

胎児選別の倫理問題

なお、出生前遺伝子診断のリスクを避けるには、体外受精で受精卵をスクリーニングする方法がある。これ自体も「生命の選別、障害者の排除につながる」と反対する意見がある。 母体血清マーカー試験は妊婦から採血し胎児のダウン症の診断に使われるが、人工妊…

出生前遺伝子診断のリスクについて

妊婦に対して出産前に胎児の遺伝子診断をおこなうこと。比較的安全といわれている羊水染色体検査では 0.3% 程度の流産・感染症リスクがある。繊毛生検では3〜5%ある(ただし妊娠初期での検査が可能、1%程度とする説明もある)。 http://www.ig-clinic.com/ke…

バイオテクノロジーの特許について

web

特許庁は、遺伝子やDNAは有用性があれば特許として認めることになっている。 これは米国や欧州と歩調を合わせている模様。http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/tt1210-005_tokkyo.htmところで、遺伝子やDNAが特許の対象となっているからといって、…

先端技術の個人情報保護

そのうち読んでみよう。ISBN:4805207221 http://www.chijinshokan.co.jp/Books/ISBN4-8052-0722-1.htm (2004/3/12追記) 遺伝子に関する個人情報保護とIT(情報技術)に関係する個人情報保護の現状を知るには役に立つと思われる。ただあまり根本的なところは…

遺伝子治療臨床研究に関する指針

遺伝子に関する公的な倫理指針といえるものについて2つ確認できたうちの1つ。 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1107-5i.html ざっと見ると「なんにでも応用できそうな倫理指針」という印象がぬぐえない。手間暇かけてこの程度のものを作るものなんだ…

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針

遺伝子に関する公的な倫理指針といえるものについて2つ確認できたうちの1つ。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/genomeshishin/html/rinri_shishin.htm 非常に長文であること、周辺資料も多いので読みこなせるか不安。 なお、「臨床研究に関する…

遺伝子を治療するのでなく遺伝子で治療する

遺伝子治療については、私も勘違いしていたが、この種の勘違いはかなり広まっているのではないだろうか? こういう勘違いを減らすことも実りある議論をするために必要なことである。(2003/11/28追加)

遺伝子は究極のプライバシーか?

ときおり、その人の遺伝子やDNAは究極のプライバシーである、という言い方がなされるが、この言い方は妥当なのか? どういう意味で「究極の」とされているのかをきちんと説明した資料にはめぐり合っていない。私の認識では、自分のDNA情報は生体認証情報とし…

新薬の臨床試験における倫理問題

今日の講義で一番印象的だったのは、本題の遺伝子診断・遺伝子治療の問題ではなく以下の発言であった。 先端医療や新薬開発は人体実験であることは疑いない事実であり、このリスクを背負うことなしに新しい医療は実現しない。たとえば日本で発売される新薬開…

遺伝子診断・遺伝子治療の倫理(第1回目)

遺伝子診断とは、遺伝子疾患などを調べるだけでなく、親子鑑定、ガンの診断にも用いることが原理的に可能である。特に倫理上の問題があるとすると、遺伝子疾患の診断があげられるだろう。しかし、どのような目的であれ、遺伝子情報を正しく取り扱うルール作…

遺伝子診断と生命保険に関する参考リンク

上記の議論に関連して以下のサイトが参考になった。「遺伝子テスト、プライバシー、優生学」http://www.kiwi-us.com/~selasj//jsc/japanese/bulletin/no95/bu_ja951.htm「ニッセイ基礎研REPORT 保険の値段はどう決まる?−保険料の細分化はどこまで進むか−」h…

遺伝子診断と生命保険

遺伝子診断の倫理問題にはいろいろあるが、保険加入における問題がその一つとして挙げられる。私の認識では保険加入にまつわる問題は2点ある。 保険会社が遺伝子診断を行うことにより、発症リスクの高い人の保険加入を拒否したりするかもしれない。 発症リス…

技術者倫理の世界 ISBN:4627973012

藤本 温/編著 森北書店(1900円) まだ買っていない。購入してみるつもり。 昨日の授業 id:tshiga:20031118 で紹介された「フォード・ピント事件」についても記載されている。 http://www.morikita.co.jp/mokuji/9730.html

哲学・倫理学用語集

web

功利主義の説明をgoogleで探したら出てきた(そして大変役に立った)ので、ここでもご紹介。http://www.ethics.bun.kyoto-u.ac.jp/~kodama/ethics/wordbook/index.html

遺伝子・DNAに関する書籍

なかなか良いのが見つからず、質より量の戦略で図書館のブルーバックス棚から3冊。高校のころから生物や化学が嫌いだったので、かなり苦しい。

フォード・ピント事件

web

技術倫理の講義では定番になってしまった事件(でも私はぜんぜん知らなかった)。これはフォード社が発売した小型車PINTOの欠陥により衝突時に車両火災の恐れがあったにもかかわらず、全車両の改修コストと死亡者に払う保険金などを比較して、コスト上昇につ…

第7講(モラル・セオリーその2)

「科学・技術と人間の倫理」の第7講。この授業は10月から毎週火曜日に開講されている。半期の授業なので折り返し点が近い。モラル・セオリーは3コース合同の全体講義であり、各コースで議論した内容が倫理学の立場から見てどうなっているのかを復習する機会…

生殖補助医療制度の整備に関する報告(厚生労働省)

この報告「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」は厚生科学審議会生殖補助医療部会の報告であるが、日本で代理出産等を禁止する根拠となる法律のもととなると思われるので、これを読むことで法律がどうなるかを予想すること…

科学技術会議(旧)の生命倫理委員会

現在総合科学技術会議というものになっているので、収められた答申はやや古いですが、内容としては熟読に値するものばかり。こんどのお題は遺伝子治療ですから、まずヒトゲノムとは何というところから勉強をしておかないといけない。http://www8.cao.go.jp/c…

日本産科婦人科学会の見解について

日本産科婦人科学会の「代理懐胎についての見解」が発表されている。日本における生殖補助医療の現状を知る上でも参考になると思われるので、ここで紹介しておきたい。http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/H15_4.htmlこの見解では代理懐胎(ホスト・マザーとサ…

第1のテーマ「生殖医療の限界」について

このテーマの討論は終了しており、生殖医療や生殖補助医療という名称で行われるいわゆる不妊治療についての調査と討論が行われた。折をみて資料と議論をまとめていきたい。 この討論の途中で、奇しくもある芸能人による代理母による出産表明(代理母・代理出…

「生物と生命の倫理」コースについて

私が選択したコースは「生物と生命の倫理」であるが、ここでの討論テーマは3つある。 生殖医療 遺伝子治療 雪印低脂肪乳食中毒事件(牛肉偽装事件としたが勘違いであった。20031225修正) すでに、生殖医療についての討論と発表は終了しており、現在遺伝子治…

「科学・技術と人間の倫理」について

北海道大学の全学共通科目(自由選択)として2003年後期に開講。ジャーナリズム・生命・テクノロジーの3コースが平行して開講され、いずれかのコースを選択する。私は生命のコースを選択している。原則としてコースごとに異なる課題が提示され調査・討論・発…

はじめに

このノートは、北海道大学で2003年度後期の授業として実施されている「科学・技術と人間の倫理」のノートとして作成したものである。参考となった文献やウェブサイトへのリンクを保存するだけでなく、授業のノート兼議論の場として日記サイトがどのように利…