2003-01-01から1年間の記事一覧

技術者倫理入門

谷垣昌敬 監修 吉村忠与志・豊島貴代志 著 オーム社 ISBN:4274132714技術者教育にも一章を割いており、倫理や環境に配慮した技術者の養成を意図したつくりとなっている。あまり理論的なことは書かれていないが、技術者として何をなすべきかを勉強したい学生…

ビジネス・エシックス

塩原俊彦著 講談社現代新書 ISBN:4061496964 こちらは手に取ったばかりの本。著者は経済学の専門家である。ビジネス・エシックスは倫理学者はあまり手がけないのだろう。

無責任の構造 モラル・ハザードへの知的戦略

岡本浩一著 PHP新書 ISBN:4569614604 これは倫理の本ではないが、モラル・ハザードがなぜおこるのか、心理学的側面から分析している。自分自身がモラル・ハザードに加担しないためにも繰り返し読んでおくとよい。 雪印の件で、脱脂粉乳に規定以上の細菌が発…

公益通報者保護法についての批判

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内部告発者(ホイッスルブロワー)保護制度の実現を進める市民ネットワーク」 http://homepage1.nifty.com/clearinghouse/whistleblower/index.html 「公益通報者保護法」についての意見書 http://www006.upp.so-net.ne.jp/pisa/ikensho.html いずれも内閣府…

雪印乳業食中毒事件の経緯と報告

現在の厚生労働省(当時厚生省)がまとめた経緯。 「雪印低脂肪乳」等による黄色ブドウ球菌食中毒の経緯 http://www.mhlw.go.jp/topics/0101/tp0119-2.html 同じく報告。 雪印乳業食中毒事件の原因究明調査結果について−低脂肪乳等による黄色ブドウ球菌エン…

他社の倫理規定

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日本IBMの「ビジネス・コンダクト・ガイドライン」 http://www-6.ibm.com/jp/ibm/bcg/ 米国流なんだろうか、大変参考になる。 日清食品の「倫理規定」 http://www.nissinfoods.co.jp/com/rinri/ 東京三菱銀行の「MTFG倫理綱領」 http://www.btm.co.jp/btm_gr…

雪印乳業の行動基準

今回のテーマでは、会社としての倫理規定がどうなっているのか(事件発生当時は? 現在は?)を調べることも仕事である。 「雪印乳業行動基準」 http://www.snowbrand.co.jp/koudo/index.html 他の会社の倫理規定を読んでいない状態で、率直な感想を述べると…

公益通報者保護法(案)

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現在パブリックコメント募集中だが、諸外国の通報制度の比較などが参考になる。 http://www.consumer.go.jp/info/shingikai/19bukai3/pabukome.html (以下12月19日追加) この骨子で気になるのは「犯罪行為等の事実」の説明である。 個人の生命又は身体の保…

検証・「雪印」崩壊

北海道新聞取材班著・講談社文庫 ISBN:4062734761 雪印乳業の食中毒事件(2000年)と雪印食品の食肉偽装事件(2002年)を追ったドキュメンタリー。2002年4月の刊行。

雪印食中毒事件(2回目)

授業といっても講義はなし。いきなりグループ討議にはいった。私は、モラルセオリーを意識しながら雪印社長の立場でどのような選択肢がありえたかを議論した。実際の事件では、経営陣が食中毒について知るのは株主総会の後であったが、議論では「大樹工場で…

雪印食中毒事件

12月9日の授業は欠席したが、この日は第3のテーマ「雪印低脂肪乳食中毒事件」のショートレクチャーであった。 で、本日は図書館にてその打ち合わせ。 今までの課題と異なり、具体的な事件であることと先端的な技術領域ではないことが大きく異なる。そのせい…

現代社会の倫理を考える3 ビジネスの倫理学

梅津光弘 著 丸善(ISBN:4621049925)これは生命倫理の本でも技術倫理の本でもない。しかし、冒頭に倫理思想をコンパクトにまとめていて私のような初心者でも理解しやすい。教科書やサブテキストとして用いるのに適切ではないかと思う。この本によると、倫理理…

優生学と人間社会

米本昌平 他 著 講談社現代新書(ISBN:4061495119)遺伝子診断の議論をしていく過程で、選択的中絶の問題を議論から外すことはできない。が、私は、優生学や優生思想について十分な認識がなく、単純に「優生思想につながるからいけない」という思考停止状態に…

遺伝子診断と遺伝子治療(グループ討論続き)

担当教官への質疑応答も行い、ディスカッションを続けた。結局「胎児・子どもに対する遺伝子診断の是非」は胎児についても決着がつかなかった。7日に再度討論し、よりによって、私が反対の立場(本来の主張とは逆の立場)でまとめをつくるということになった…

課外ディスカッション

この「科学・技術と人間の倫理」という講義では、グループ単位での発表が3回あり、グループでの討議をまとめなければならない。このため、講義時間外での集まりが必要に応じて開かれる。11月29日と30日の両日、ディスカッションが行われた。それぞれ4時間程…

遺伝子治療の倫理

遺伝子治療は、現在体細胞を対象としており生殖細胞へは適用していない。生殖細胞への遺伝子治療というものが可能になった場合、その実施は十分な説明のうえ患者の同意が必要であろう。一般の先端医療同様の慎重さが求められる。差し迫った危険や代替の方法…

遺伝子情報の取扱い

遺伝子情報は個人情報であり、本人の同意がなければそのDNA解析や遺伝子診断を行ってはならないという大原則が確立されるべきである。また、個人情報保護法に遺伝子情報の取扱原則や規制を明記すべきと思われる。 遺伝子診断を医療機関以外の主体が行っては…

遺伝子診断の倫理

遺伝子診断を日常医療の場での遺伝子原因の疾患を診断する目的でつかうことに限って考えることにしよう。 遺伝子診断を実施するに当たって、以下のポイントは必須であろう。 人の遺伝子は医療情報であり個人情報であるという原則を関係者すべてが共有する。 …

中間まとめ「遺伝子診断と遺伝子治療」

私の基本的な立場は、治療を受けたいと願う人の希望は極力かなえることが善であるという功利主義の立場である。自己決定は尊重されるべきだし、他人に迷惑がかからないのであればたいていのことはやってよいとする立場である。遺伝子の問題の難しいところは…

胎児選別の倫理問題

なお、出生前遺伝子診断のリスクを避けるには、体外受精で受精卵をスクリーニングする方法がある。これ自体も「生命の選別、障害者の排除につながる」と反対する意見がある。 母体血清マーカー試験は妊婦から採血し胎児のダウン症の診断に使われるが、人工妊…

出生前遺伝子診断のリスクについて

妊婦に対して出産前に胎児の遺伝子診断をおこなうこと。比較的安全といわれている羊水染色体検査では 0.3% 程度の流産・感染症リスクがある。繊毛生検では3〜5%ある(ただし妊娠初期での検査が可能、1%程度とする説明もある)。 http://www.ig-clinic.com/ke…

バイオテクノロジーの特許について

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特許庁は、遺伝子やDNAは有用性があれば特許として認めることになっている。 これは米国や欧州と歩調を合わせている模様。http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/tt1210-005_tokkyo.htmところで、遺伝子やDNAが特許の対象となっているからといって、…

先端技術の個人情報保護

そのうち読んでみよう。ISBN:4805207221 http://www.chijinshokan.co.jp/Books/ISBN4-8052-0722-1.htm (2004/3/12追記) 遺伝子に関する個人情報保護とIT(情報技術)に関係する個人情報保護の現状を知るには役に立つと思われる。ただあまり根本的なところは…

遺伝子治療臨床研究に関する指針

遺伝子に関する公的な倫理指針といえるものについて2つ確認できたうちの1つ。 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1107-5i.html ざっと見ると「なんにでも応用できそうな倫理指針」という印象がぬぐえない。手間暇かけてこの程度のものを作るものなんだ…

ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針

遺伝子に関する公的な倫理指針といえるものについて2つ確認できたうちの1つ。 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/genomeshishin/html/rinri_shishin.htm 非常に長文であること、周辺資料も多いので読みこなせるか不安。 なお、「臨床研究に関する…

遺伝子を治療するのでなく遺伝子で治療する

遺伝子治療については、私も勘違いしていたが、この種の勘違いはかなり広まっているのではないだろうか? こういう勘違いを減らすことも実りある議論をするために必要なことである。(2003/11/28追加)

遺伝子は究極のプライバシーか?

ときおり、その人の遺伝子やDNAは究極のプライバシーである、という言い方がなされるが、この言い方は妥当なのか? どういう意味で「究極の」とされているのかをきちんと説明した資料にはめぐり合っていない。私の認識では、自分のDNA情報は生体認証情報とし…

新薬の臨床試験における倫理問題

今日の講義で一番印象的だったのは、本題の遺伝子診断・遺伝子治療の問題ではなく以下の発言であった。 先端医療や新薬開発は人体実験であることは疑いない事実であり、このリスクを背負うことなしに新しい医療は実現しない。たとえば日本で発売される新薬開…

遺伝子診断・遺伝子治療の倫理(第1回目)

遺伝子診断とは、遺伝子疾患などを調べるだけでなく、親子鑑定、ガンの診断にも用いることが原理的に可能である。特に倫理上の問題があるとすると、遺伝子疾患の診断があげられるだろう。しかし、どのような目的であれ、遺伝子情報を正しく取り扱うルール作…

遺伝子診断と生命保険に関する参考リンク

上記の議論に関連して以下のサイトが参考になった。「遺伝子テスト、プライバシー、優生学」http://www.kiwi-us.com/~selasj//jsc/japanese/bulletin/no95/bu_ja951.htm「ニッセイ基礎研REPORT 保険の値段はどう決まる?−保険料の細分化はどこまで進むか−」h…