日本産科婦人科学会の見解について

日本産科婦人科学会の「代理懐胎についての見解」が発表されている。日本における生殖補助医療の現状を知る上でも参考になると思われるので、ここで紹介しておきたい。

http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/H15_4.html

この見解では代理懐胎(ホスト・マザーとサロゲート・マザー)の両方を非としているが、その理由として以下の4つの理由を挙げている。

1) 生まれてくる子の福祉を最優先するべきである
2) 代理懐胎は身体的危険性・精神的負担を伴う
3) 家族関係を複雑にする
4) 代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容していると認められない

一読した私の感想は、以下の違和感を抱くものであった。

  1. 学会として望ましい生殖補助医療のあり方についてなんら提言を行っていないようにみえる。
  2. 現行の法律や社会的状況を所与のものとして捉えているだけで、法律を変えたり社会的な合意形成に関与しようとしていない。

この文書は見解を述べるものであるという点から、学会として抑えた立場をとっているのかもしれないが、専門家集団のとるべき態度としては物足りない。

個別の論拠については見解に詳細が述べられており、それぞれの論拠にも異論があるので、時間を見つけてコメントしていきたい。