公益通報者保護法(案)

現在パブリックコメント募集中だが、諸外国の通報制度の比較などが参考になる。
http://www.consumer.go.jp/info/shingikai/19bukai3/pabukome.html
(以下12月19日追加)
この骨子で気になるのは「犯罪行為等の事実」の説明である。

個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、生活環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令に規定する罪の犯罪行為として別表に掲げるもの

として、別表には

・刑法の罪
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の罪
食品衛生法の罪
証券取引法の罪
・農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の罪
大気汚染防止法の罪
廃棄物の処理及び清掃に関する法律の罪
など

とされている。なぜ包括的に犯罪行為とせず、具体的な犯罪行為を列挙しなければならないのだろう。実際の法律では「など」とは書かれないだろうから、列挙することで「公益通報者保護法で保護されない」犯罪行為が出てしまうことにならないだろうか。
あと、議論となりうるのは公益通報を以下の3つに区分し、外部通報を他の2つのルートでの通報に問題があるときに限定している点であろう。緊急性がないのにいきなり外部通報するのはこの法律案の保護を受けられない可能性がある。どのルートを使うかは通報者が任意に選べるべきであるという批判がある。

  1. 内部通報(労務提供先への通報。倫理ヘルプラインのような組織を想定している)
  2. 行政機関への通報
  3. 外部通報(報道機関などが想定されているが、骨子では報道機関を特別扱いしていない)

また、通報の形式については規定されていないがフィードバックの規定が一部にあることから、匿名による通報は保護の対象にならない可能性がある。また、事業者に対する内部通報ではフィードバックの規定があるが、行政機関への通報ではフィードバックについて記述がない。通報先が誤っているときだけ正しい通報先を教示するだけである。この理由も良くわからない。