問題提起

今年に入ってからニワトリの鳥インフルエンザ感染に関するニュースが急増している。2004年度の「科学・技術と人間の倫理」でも取り上げられる可能性があるだろう。
鳥インフルエンザそのものの問題は、以下のとおりである。

  1. 鳥からヒトへ感染する可能性が少ないながらもある*1
  2. 感染した場合、鳥インフルエンザが変化して致死性の高いヒトのインフルエンザになるおそれがある。

したがって、現在行われている対策は、鳥からヒトへの感染を防ぐという目的で行われていると考えられる。鳥インフルエンザが発生した養鶏場のニワトリの大量処分が行われるのもそのためである*2。発生国からの生きた鳥の輸入も禁止されているし、同じく鶏肉についても安全性が確認できるまで停止された。

鳥インフルエンザについては国立感染症研究所のサイトがまとまっている。
http://idsc.nih.go.jp/others/topics/flu/QA040113.html

倫理上の重大な問題といえば、鳥インフルエンザ隠しともとられる一部養鶏業者の行動であろう。トラブルを隠すというのは人の本質じゃないかとも思えるほどである。しかし、それゆえに明確な言葉で自らそして組織の行動を「正しい」ものにしていく必要がある。

異常な事態を「異常」として認識できるためには、技術的な能力と洞察が必要になると思う。経営者がそうであれば役所に連絡して適切な措置をとったことであろう。従業員は組織の中でその能力を発揮して適切に主張すべきだが、匿名で告発があったのもやむを得ないかもしれない(これは公益通報制度でもいえること)。

*1:加熱した肉や卵からうつる可能性はない。

*2:鳥インフルエンザは家畜伝染病として分類されており、法律上も処分される必要がある。