医療倫理 ISBN:4326101385

浅井篤 服部健司 大西基義 大西香代子 赤林朗 著
医療倫理
医療に携わる人(倫理学や哲学を学んだ経験もある)が書いた医療倫理に関する本。インフォームド・コンセント、告知、安楽死、延命治療、人工妊娠中絶、倫理委員会など広範な主題を含む本である。

インフォームド・コンセントについては、裁判(『医療倫理』pp58-59 によると、シュレンドルフ事件、サルゴ事件、ネイタンソン事件)を通じて確立されてきた概念であるため、医師が訴訟を回避するための手続きに過ぎないという誤解もある、と説明されている。

医師は、患者を完全に治すことはできないのが普通であるし、医師が推奨しない治療法を選択した場合さらに望ましくない結果になることが予想される。しかし、治療法を選択させても後から「だからいわんこっちゃない」と医師が言ってしまえば、患者に絶望を与えるとともに、その時点で患者の自己決定を尊重しないというメッセージになる。それはインフォームド・コンセントとは言えないだろう。