遺伝子診断・遺伝子治療の倫理(第1回目)

遺伝子診断とは、遺伝子疾患などを調べるだけでなく、親子鑑定、ガンの診断にも用いることが原理的に可能である。特に倫理上の問題があるとすると、遺伝子疾患の診断があげられるだろう。しかし、どのような目的であれ、遺伝子情報を正しく取り扱うルール作りは必須であると考えられるが、いまのところ網羅的なルールは存在しないようである。
遺伝子診断・遺伝子治療と並べて論じられるが、遺伝子治療は診断に比べ格段に難しい治療であり、遺伝子診断によって明らかにされる遺伝子病の中には、治療法がないものも多数存在する。
遺伝子治療については、まだ確立した技術ではなくいわゆる先端医療行為である。現在のところ「遺伝子治療であるから」というより「先端医療であるため」倫理委員会でのレビューを必要としている段階である。また、遺伝子治療のターゲットを誤って生殖細胞に作用してしまう危険は、いまの遺伝子治療のやり方では心配はないらしい。であれば、遺伝子治療固有の倫理問題は存在せず、先端医療全体の問題の一例にすぎない。
でもほんとうにそうだろうか?
今回のケーススタディは非常に難しいものであると感じた。何を議論の柱にすべきかもグループ討論では決めることができなかった。
有力なテーマとして「遺伝子情報の取扱ルールを提言する試み」や「治療のできない遺伝子病の診断結果の開示ルール」といったものが漠然と浮かんではいるのだが。