自己責任論の蔓延と他者への不寛容

イラクの人質事件を聞いたとき、私の家内が言った言葉も「でも自分で危ないところにいったんでしょう?」というものだった。電話や郵便で嫌がらせをするほどではなくても、物言わない「自己責任」支持者は相当数に上るのかもしれないと思った。
自己責任論の底にあるものは「他者への不寛容」ともいえるだろう。不寛容は日本の総理大臣だけかと思ったが、実際には言論に携わる人たちにも、市民にも蔓延しているようだ。
人間の社会(共同体)を成り立たせている重要な倫理規範のひとつが「寛容」であり、不寛容とは共同体を破壊することにつながるのではないかと思う。実際戦争というのも他者への不寛容が「いっしょにはやっていけない」という状態になって発生するものらしい。